「4ステップエラー修正」とは、レッスン中に生徒が課題を正しく実行できなかったときの矯正戦略の一つ。生徒がエラーした時に、指導者が4つのステップを実行するので、名前が「4ステップエラー修正」
①正解の見本を示す。
②同じ刺激を与え反応を練習する。
③他の物に意識を切り替える。
④同じ刺激を与え反応させる。
短く英語で言うと、demo, repeat, switch, retry かなぁ。原文確認していないので、あしからず。(原文確認は次回)。
このエラー修正法は、アンディ・ボンディ博士が開発したPECSに取り入れられている。
療育において、ABA的手法では、「刺激を与えて、行動させて、好子を与える」んだけど、その三つ組が連続して現れて、一連の課題となる。ふつうはどこかで、生徒は間違えるわけですよ。一連の動作を間違えないで実行できるなら、それは練習の必要がない。間違えるか間違えないか微妙な課題をやるのが、練習。必ず間違える課題は、難しすぎて、これまた練習にならない。
では、間違えたときにどうするか。その対処で、療育効果には雲泥の差が出る。どうしてかって?生徒が間違えたときの先生の取りうる反応には様々あるものの、「どんな反応をとりなさい」と具体的な指導がされていない。具体的じゃないと、指導者に個人差が出る、同じ療育方法の同僚の先生の間でさえ対処法に個人差が出る。で、先生を先生が指導する際に「よく考えなさい」とか「臨機応変に」とか「それじゃあ、だめだ」とかなるわけですよ。
「4ステップエラー修正」は明確。生徒が間違ったら、「4ステップエラー修正」をする。「4ステップエラー修正」を実行するには、指導者に訓練が必要です。特別な訓練ではなく、4つのステップを自然に実行できるように反復訓練が必要なだけです。「4ステップエラー修正」は、はい始めますよ、じゃなくって、レッスン中にいつ開始するかは予測ができない。生徒が間違ったら即座に「4ステップエラー修正」を実行する必要がある。
PECSの講習会で、アンディ・ボンディの療育シーンのビデオを見る機会があるが、彼は「4ステップエラー修正」をさりげなく、やっているんですね。
パイロットがエンジントラブルに対処するようなもんなんだけど。いざエンジントラブルが起こった時に、機長Aさんと機長Bさんとでやることが違うってことはないよね。いつトラブルが起こるか分からないけど、起こったら、その時の状況に応じて対処方法は違うが、どの機長がやっても同じことをする。
療育方法の指導書で、生徒ができないときに、指導者がするプロンプトやガイドのことは、いろいろ書いてある。けど、生徒が間違った時に指導者がする方法って、「戻る」とか「課題のレベルを下げる」ことくらいしか見たことがない。課題をしないことよりも、間違った実行をしてしまうことのほうが圧倒的に多いのに。
「4ステップエラー修正」って、ネットで探してもほとんど出てこない。なんで~。
療育の質を安定させるには、療育者の指導マニュアルを整備すること。マックにいってどの店やどの窓口に並んでも、注文したものはちゃんと出てくる。多少の速い遅いはあるが。大手塾では、どの講師が講義しても、個人塾に比べると、当たり外れはない。それって、通常処理と例外処理がマニュアル化されていてるから。
こと療育になると、通常処理はマニュアルがあるが、例外処理のマニュアルは皆無。成り立ちから考えると、TEACCHには例外処理が少なく、ABAには例外処理が多い。例外処理が多くて、マニュアル化されないと、療育者に個人差がでて、そのまま効果にも雲泥の差が現れる。
ABAでは療育者の個人差が大きく、効果にも差が多いのが、普及が進まない理由なんでしょ。きっと。