今回は、自閉症君にiPadを使わせるとき、写真やイラストのデータをどのように準備するかについて書くことにします。
自閉症君への支援で一番重要なのは、視覚的な支援でしょう! 絵カードを使ったコミュニケーション、絵カードを使ったスケジュールや時間管理、絵カードを使った社会的なルールの教育、などなど。
パンダ君が高等部1年になったので、特別支援教育就学奨励費で iPad mini 4 を購入しました。iPad mini が届いたのは、5月末でした。それから1ヶ月、もう6月末ですが、いろいろと準備に手こずってます。
前回までの関連記事:
今回の記事の主題は、画像データです。
- 我が家でここ4年ほど、ICTでの支援をしなかった理由
- 子供に必要な画像データとは
- 失敗しない画像データ保管の考え方
- 子供のiPadで、画像データを扱う手順
我が家でここ4年ほど、ICTでの支援をしなかった理由
たしか2010年に、voice4u と DropTalk という iPhone アプリが登場しました。自閉症児支援のしゃべる絵カード・アプリですね。当時、我が家のパンダ君はしゃべれないので、絵カードを使ってコミュニケーションをしていて、自作の絵カード・ブックを数セット持っていました。いわゆる PECSブックです。当時のアプリは、1語文のみ。文章を作れないアプリは、はっきり言って使い物になりません。
そこで私は2011年(だったと思う)に、文章が作れる、絵カード・ブックにそっくりのアプリを作りました。「絵カード・コミュニケーション」というiPhoneアプリです。結構人気のアプリになりました。我が家でも、そのアプリを使っていました。パンダ君専用のiPad、私のiPhone、ママのiPhoneに「絵カード・コミュニケーション」アプリを入れていました。もちろん、これまで通り絵カード・ブックも使っていました。
2年後、iPhoneを新しいモデルに買い換えます。Appleファンのご家庭では、2年サイクルでiPhoneを買い換えているのではないでしょうか?
すでに100枚くらいの絵カードデータが入っているアプリを新しい iPhoneやiPadで同じように使えるようにするには、とても面倒なのです。データ移行ができないんです。アプリはデータ移行を想定した作りになっていないのです。もう一度、画像データを入れていけば良いのですが、元画像がない。画像がパソコンの中に散らばって保管されていたり、スマホの中のままだったりして、一箇所にまとまっていません。
中途半端にしか絵カードが入っていないと、パンダ君はアプリを使いません。横に絵カード・ブックがあるんだから、そっちを使います。絵カード・ブックを数セット使っていると、1冊ぐらい絵カード・ブックがなくても、1個ぐらい絵カード・アプリが使えなくても、困りませんよね。私もママも、新しいiPhone, iPadに絵カードを充実させることが、いっこうに進みません。
紙とラミネートフィルムとマジックテープを使った、従来の絵カードは、必要に応じて少しずつ作っていきます。そんな状況が数年続きました。
2015年度(だったかな?)、高等部の生徒は特別支援教育就学奨励費でICT機器を買えるようになりました。
パンダ君が高等部になるまでは、今のままでいっか! 高等部になったら、ICTの支援を再開しよう。と先延ばし ^-^;
そんなこんなで4年が経っていたのです。
子供に必要な画像データとは
ちなみに今回の目標は、PECS IV+ というアプリをパンダ君が家や学校で使えるようになることです。PECS IV+ は絵カード・ブックのアプリで、文章が作れます。iPad版のみで、iPhoneでは使えません。
アプリには通常、はじめっから絵カードのイラストデータがたくさん入っています。(私が以前作った、「絵カード・コミュニケーション」アプリには、イラストがちょっとしか入っていませんけど >_< )
しかしアプリに入っているイラストデータでは、絶対に足りないのです。イラストが千点あっても足りません。一万点あっても足りません。絵カード・ブックでは、必要な絵カードが1個でもないと使い物にならないのです。だから、必要に応じて、家庭や学校で絵カードを増やします。例えば、「じゃがりこ」、「アンパンマン絵本」、「山田商店」の絵カードは、アプリに最初っから入っているわけないですよね。
そこで今回、我が家で作ってきた絵カードの内容を調べてみました。そして、後から使いやすいように独自に分類した結果が、次です。
- 固有名詞
- 人
- 食べ物・飲み物
- 外出
- ロゴ
- 個別化
- 家の中
- 教養
- 専門
- 医療
固有名詞はアプリの初期データには入っていません。考えてみれば当然ですよね。先生は入っているけど、鈴木先生は入っていない。クッキーは入っているけど、じゃがりこは入っていない。コンビニは入っているけど、セブンイレブンは入っていない。当然、ロゴは入っていません。
次に必要なのが個別化された画像です。本人がお気に入りのタオル。本人の部屋。などの写真。そして、マッチング、時計学習、書字、プリント、おつり計算、などのお勉強系の写真です。
そして専門系としての医療関係の写真やイラストです。医療関係は、たまにしか使いません。しかし、使うときは一発勝負なんです。病院の受付、待合室、診療室、医療機器、会計などが、病院ごとに必要だったりします。
失敗しない画像データ保管の考え方
もしも絵カードアプリを1年間の限定で使うのだったら、話は簡単です。必要に応じて、子どもが使っているiPadで写真をとったり、iPadのブラウザーで画像検索してiPad内に保存すれば、写真ホルダーに写真やイラストが溜まっていきます。その写真やイラストを使って、アプリ内で絵カードを作れば良いのです。
問題は、
- 2年後3年後のiPadの買換え
- 将来、新しいアプリが登場した時の、セットアップ
- (まれに)誤操作でアプリを削除してしまった時の、再セットアップ
という長期間の対応です。
そのために、子供が使うiPadではない場所に、画像データを保管しておく必要があります。
そしてもう一つ。その画像データを集めてくるのは、お母さんお父さんという家族であること。子供のiPadだけからアクセスできる画像保管庫だったら、面倒ですよ。お母さんやお父さんがいつも使っている、iPhoneやパソコンから画像データを整理できるのがいいですよね。お母さんと父さんがバラバラに画像データを管理していると、数年もたつと訳がわからなくなります。
すなわち、家族内で長期間、一元管理できる、画像データの保管庫が必要になります。
家庭のパソコン? 4年ぐらいで買い換えますよね。
ネット上の写真共有サービス? Fricker, Picasa, LINE, ,,, サービスも流行り廃りがあり安心はできません。
現実解は、1つしかありません。
iCloudの写真共有
です。
- iCloud上の写真共有ホルダーは、iPad/iPhoneアプリから使えます。
- ファミリー共有機能があるので、お母さん、お父さん、子供も同じ写真共有ホルダーを使えます。お母さん、お父さんのiPhoneで撮った写真を簡単に、iCloudの写真共有ホルダーにコピーできます。
- 3,000点の画像を共有保存できます。(iCloudの5GB無料とは、別に)
- パソコン(Mac, Windows)からも、アクセスができます。
- 無料です。
- (いざという時)自分のパソコンにデータを持ってくることができます。
さあ、次章はいよいよ、iPadを使ってiCloudの写真共有のセットアップです。
子供のiPadで、画像データを扱う手順
登場人物は、子供とお父さんとお母さんの3人にしましょう。(子供とお母さんの2人でも構いません)。
子供用に新しいiPadを購入しました。子供用に新しい Apple ID を作成しました。子供用のApple IDを使って、新しいiPadの初期セットアップは終わっているとしましょう。
お父さんは、iPhoneを持っています。お父さん自身のApple IDを使っています。パソコンはMacとWindowsの両方を使っています。
お母さんは、iPhoneを持っています。お母さん自身のApple IDを使っています。
ここまでが前提としましょう。
これからすることは、
- ファミリー共有の設定
- iCloud写真共有の設定
- 共有フォルダーの作成
- 共有フォルダーへ、今まで持っている写真をコピーする
(以下での画面コピーは、設定後のものです。悪しからず (^-o)
1)ファミリー共有の設定
それではお父さん(または、お母さん)のiPhoneで始めましょう。
設定画面を開きます。
青色の枠で囲ったところのボタンを推して下さい。
初めは、ファミリー共有から設定していきます。
上の画面コピーでは、すでにママとパンダ君のファミリー共有が終わった状態です。
本当は最初に、家族の代表者=管理者を決めないといけません。そうです、あなたです。まず、あなたがファミリー共有の管理者になりましょう。(説明画像なし)
次にファミリー共有するには、「家族を追加…」のボタンで行います。(その後の説明画像なし)その時に、家族のApple IDが必要です。もし家族のApple IDのパスワードを知っていれば、それを入力すると、直ぐに完了です。パスワードが分からなくても、その本人に招待のメールが送信され、本人がクリックで了承すると、メンバーに加わります。
子供の設定を見てみましょう。
ファミリー共有されると、メンバーは管理者の登録したクレジットカードで、アプリが買えてしまいます。子供が勝手に(誤って)、アプリや楽曲を買わないように、することができます。これは、メンバーが未成年の時だけ指定できるオプションです。
これで、共有の下地ができました。
ここで、パンダ君のiPadではどのように見えているか、見ておきましょう。
設定画面を開いて、ファミリー共有のボタンを押して見ましょう。
こんな感じです。私が管理者で、ママとパンダ君がメンバーになっています。
2)iCloud写真共有の設定
設定を少し戻って、今度は iCloudの設定をします。
iCloudは色んなことに使えます。
でも、今回必要なのは、写真の設定だけです。
iCloud写真共有をONにしましょう。
今、パパのiCloud写真共有ができました。
子供側も同様の設定が必要です。
子供側のiCloudの設定をします。
写真の設定をします。
iCloud写真共有をONにしましょう。
これで、子供側のiCloud写真共有ができました。
お母さんや他の家族がいるときは、同様にみなさん設定して下さい。
3)共有フォルダーの作成
この段階で、自動的に「家族」という写真フォルダーが共有できています。
この「家族」フォルダーに画像をいっぱいいれてしまうと、後で困ります。アプリで画像を取り込む時に、たくさんありすぎて探せないんですね。だから、個別の共有フォルダーを作っておくのをオススメします。フォルダーの構成は、前段で紹介した内容です。
- N1 人
- N2 食べ物・飲み物
- N3 外出
- N4 ロゴ
- P1 家の中
- P2 教養
- S1 医療
- C1 あとで分類
分類に迷うこともあるので、「あとで分類」もあったほうがいいでしょうね ^-^;
新しい共有フォルダーの作成は、お父さんのiPhoneからでも、子供のiPadからでも、お母さんのiPhoneからでもできます。(MacやWindowsからでもできます。)
上の画像は、すでにいくつかの共有フォルダーがあって、そこに画像を入れ込んでいるものです。
画面の左上の「+」ボタンを押すと、新しい共有フォルダーを作ることができます。
ただし、フォルダーを作っただけでは、まだ共有されません。フォルダーを作った人が、他の家族を招待して下さい。この招待は、フォルダー1つ1つに対して招待する必要があります。
共有フォルダーを新しく作ったら、忘れないように、家族を招待しましょう。
4)共有フォルダーへ、今まで持っている写真をコピーする
(ここからは、写真の説明が少ないです。>_<)
あなたの場合、今まで持っていた画像(写真、イラスト)はどこにありますか?
パパのiPhoneの中。たった今、子供のiPadで写真を撮ったって?!その場合は、比較的簡単です。iPhoneやiPadの写真アプリで、共有フォルダーにコピーすればOKです。
家庭のパソコンの中に画像(写真、イラスト)が入っている時。
多くの家庭がこのパターンだと思います。
その1)パソコンがMac
Macの場合、Macの写真アプリからしか、iCloudの共有フォルダーにコピーできません。すでに多くの写真が、写真アプリに入っているとしても、結構面倒臭いです。我慢して、少しづつコピーしましょう。
Macのフォルダーに写真が入っている場合、もっと面倒です。写真を直接、iCouldの写真共有フォルダーにコピーすることができないのです。だから、写真を一旦、写真アプリにコピーする。そして、写真アプリを使って、iCouldの写真共有フォルダーにコピーする。という2段階の手順が必要です。
その2)パソコンがWindows
まず、WindowsにiCloudをインストールして下さい。
https://www.apple.com/jp/icloud/setup/pc.html
ここから、ダウンロードできます。
インストールが完了すると、iCould関係のアプリがどっさりインストールされます。
その中から、iCloudフォトを起動します。
このWindowsのiCloudフォト、エクスプローラのような顔をしています。実際、エクスプローラです。でも、かなり使いにくいです。でも、Macで写真を共有フォルダーにコピーするのに比べると、windowsのほうがましでした。
ああ、自閉症君が学校でiPadを使う道のりは、まだ長い!